フェンダー ツイードデラックス 5E3の製作
以前製作しました5E3アンプをもう少し詳しく書き直しましたが、1ページ目は前と同じ内容です。
昔、友人からもらった使用済みのボンネット付きのシャシーがありますのでこれを使って真空管ギターアンプを製作します。
下の写真がもらったままの状態で、ソケットは錆が出ていますしシャシーは穴だらけですが、あいている穴はそのまま利用することにします、
塗装もあまりきれいではありませんでしたので塗装しなおしました。
手持ちの電源トランスと出力トランスの容量から10WのAMPが限度なのでフェンダー 5E3をコピーすることにしました。
使用したトランスは、電源トランスがサンスイ PT-100、(280V-0-280V)これは出力電流が100mAしかありません、新たに購入するのであればもう少し電流容量の大きいものの方がいいと思います、出力トランスは同じサンスイ H10-8(10W-8KΩ)40Hzで10Wの容量しかありません、これらのトランスは大昔に購入したもので現在ではサンスイという会社もなくなってしまいました。
回路図を入力側から見てみますと、
12AY7の片側に二つの入力があり上側の入力インピーダンスが136KΩもう一方が1MΩです、入力はプラグを刺さない時はアースにショートしていますが12AY7のグリッドは34KΩ(68KΩ2本が並列)を通して浮いていますのでフルヴォリュウムにしたときはザーと言うバルブノイズが少し出ます、試しにグリッドを直接アースしてみましたらハムやノイズはまったく出ませんでした。
トレブルVRはA型を使用してください音量VRはA型、B型どちらでもいいでしよう、
電圧増幅、位相反転、電力増幅回路は標準的な回路でとりたてて言うところは無いでしょう、ただ出力ジャックの中点がアースに接続されていますがここはアースしない方がいいように思います。
今回製作したものは入力を一回路にしたので12AY7のカソード抵抗820Ωを1.5KΩに変更しました、そのほかにカソードバイパスコンデンサーは現在25uFというものがありませんので33uFに変えました、またB電源回路のデカップリングコンデンサーも手持ちの関係で47uFに、5Y3のフィラメントについている16uFを20uFに変更してあります、それ以外のものは
回路定数を一切変えずに回路図どうりに作りましたが全く無調整で出来上がりました。
周波数特性はレベルVR、トレブルVR共最大のとき20Hz〜40KHz -3dB、レヴェルVR、トレブルVR共中間のとき20Hz〜6KHz -3dBです。この回路は高域減衰型でトレブルVRは減衰した高域を持ち上げているだけです、レベルVR中間、トレブルVR最大のとき低域は-6dB 高域は+1dBの特性になっていますから高域がブーストされたようになります。またレベルVR、トレブルVR最大のときは500pFのコンデンサーがショートされるためトレブルブーストされなくなりこのとき周波数はフラットになります。
ダンピングファクター(DF)は0.3しかありませんので音色にかなり影響してくると思います、使用するスピーカーとの相性でAMPの評価が変わってしまうかもしれません。 (f=1KHz RL=8Ω ro=26.78Ω DF=0.3)
残留ノイズは初段のグリッドをアースにショート、レベルVR最大で1.7mV(初段管 12AU7)でした。
--回路図拡大--
部品リスト
電源トランスはノグチPMC-170Mを指定しましたが、TANGO、HASIMOTO、タムラなど電圧、電流が合いそうなものならどこのメーカーでもOKです。ノグチトランスは、ショートリング、ハムプルーフベルト付きで低価格の割には作りが良いようです。
PMC-170Mは出カ電流が170mAあり、余裕を見てこのトランスにしましたが、もう一つ下のPMC-150Mで大丈夫です。
出カトランスは同じくノグチ製です、PMF-25Pは出カ25W、PMF-15Pは出カ15Wです、どちらでも使えます。 トランス1次側のインピーダンスは8KΩで使用して下さい。
シャシーはボンネット付きのMK-350でも良いしアルミの弁当箱型の物でも良いでしょう。 ノグチトランスの「お助けシャシー」の中に2MM-170と言う穴無しシャシーが販売されています、これは板厚2mmで強度も十分、寸法的にも丁度良いと思います。
ノグチトランスのホームページは http://www.noguchi-trans.co.jp/cgi-bin/cgis/genrelist.cgi
抵抗は1Wの酸化金属皮膜抵抗(酸金)を指定しましたが、これはワット数の割には小型だったからです、もちろん金属皮膜抵抗やカーボン抵抗でもかまいませんが、プレートやカソード回路には1/2W以上の物を使ってください、グリッド回路は1/4WでもOKです。
B電源回路の5KΩ/3Wの抵抗は4.7KΩ/3WでOKです。 3Wが無ければ2WでもOKです。
出力管カソード抵抗は300Ω/10Wを使いましたが250Ω/10WでもOKです。(回路図は250Ωになっている)
ワット数の大きい抵抗を使っている所は発熱します、電解コンデンサーやケーブルと離して取り付けてください。
電解コンデンサーの極性には最大の注意を払って配線してください、高電圧が掛かる場所はプラスとマイナスを間違わないように配線し何度も見直してください、また耐圧にも注意して余裕のある物を使って下さい。
整流管5Y3GTの出カの所に付ける電解コンデンサーは22uF以下の容量にして下さい、大きすぎると整流管を壊します。
ボリュームは密閉タイプを使用したほうが良いと思います、端子部分が空いているタイプは長期間使用するとホコリなどでガリが出ます。
真空管ソケットはタイト製を使いましたが、モールドタイプでもOKです。 初段管にはシールドケースを使用した方が良いと思います、ノイズの点で有利です。
真空管は12AY7の代わりに12AX7Aを使いました、
ほかに12AT7,12AU7,12BH7Aなどが使用可能です、12AX7Aを使ったときは5mV入力で出力が最大(10W)になります、また12AU7,12BH7Aを使用したときは15mV入力で最大出力になります。
出力管の6V6GTは持っていませんので6L6GCに変更しましたが、5881,EL34等も使用可能です。(EL34はpin接続注意)
6L6GCをパワーUPするにはトランスの容量が足りません、電源トランスの電圧と電流容量を少し大きくして、出力トランスも30W位の物にすれば出力UP可能です、そのときは整流管もそれに見合ったものを使用してください。
調整および確認
本機は調整箇所はありません、パワーAMPの出カを測定する時に動作確認をすれば良いと思います。
電源トランス右側のチュウブラ型コンデンサーは10uFを2本使いました、また使用した抵抗はグリッド回路には1/4Wカーボンを、プレートやカソード回路には1WをB電源回路には3Wの酸金抵抗を、出力管カソード抵抗は10Wホーロー型を使いました、カップリングコンデンサー0.1uFは600V耐圧のフィルムタイプをトレブル回路の500pFと5000pFはスチロールコンデンサーを使用しました。
ボンネットも黒色で塗装したら全体が見違えるようにきれいになりました。
--実体配線図--
--シャシー内部写真--
--パワー管変更--
追記
整流管5Y3GTを5AR4に差し替えてみました所、最大出力が15Wに増加しました、これは整流管の内部抵抗が減少して、出力電圧、電流が増した為でパワートランスに余裕があれば5AR4にしても良いでしょう。
電流が100mA以上流れますので本機では採用しませんでした。
5Y3GTを5AR4にそのまま差し替えても大丈夫です、回路の変更はありません。
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