フェンダー ブラックフェースの製作
今回は固定バイアス回路のフェンダーAMPを製作します、外観や部品配置は異なりますが、ほぼ回路図どうりに製作しました。
比較的簡単で作り易そうな回路を探したところ、シルバーフェース、ブラウンフェース、ブラックフェース、が見つかりました、この3種類は回路的にはほとんど同じで、異なる所はB電圧とバイアス調整回路とNFBの抵抗、そして真空管に6L6GCを使うか5881を使うかというところです。
また、ブラックフェイスには6L6GCと6V6GTを使ったAMPがありますが、この二つも回路はほとんど同じものです。 今回は出カ管に6V6GTを使用しましたが、6L6GC、EL34などを差し替えてパワーアップもしてみたいと思います、バイアスも真空管それぞれに調整してみます。
回路説明
初段管は12AX7を使い40倍増幅しています、増幅された信号は次にトーン回路に入りTreble、Bass、Midを調整します、下にTONE回路の周波数シュミレーションを載せました(実測値ではありません)、ここで信号が約1/10減衰します、そしてVolで音量調整した後もう一度増幅してパワーAMPに信号を送ります。 (プリ部分トータルで220倍)
二段目の12AX7プレート(6pin)にはC5(0.047uF)が接続されていますが、パワーAMP入力部分にも0.001uFのコンデンサーがあり回路図上ではこの二つが直列につながっています、実際は二つつなげる必要はありませんから0.001uFだけにしましたが、ここは音を聞きながら0.001uF〜0.047uFの範囲で調整をして下さい。
次にパワーAMP部分を見てみます、INからの信号は12AT7の増幅および位相反転段に入ります。 上側のプレート抵抗が82KΩ、下側が100KΩの抵抗で値が違いますが、これは上下の真空管の入カに差がありゲインにアンバランスが生じます、この為に下側の抵抗値を上側より少し大きくして出カ電圧のバランスをとっています。 この2本の抵抗を同じ値にするとACバランスが崩れます。 しかしAB165、AA763 など同じ抵抗値を使って意図的にバランスを崩している機種もあります。
位相反転された信号は次に出カ段に入ります、出カ管は6V6GTを使用していますが、オリジナルのブラックフェースの6V6GTにはかなり高い電圧を掛けています。 この時代、真空管は安価でいくらでも有りましたから壊れたら取り替えれば良かったかもしれません、しかしこんな無理をさせなくてももう少し余裕のある6L6GCのような球にしても良かった様な気がします。
B電源回路はオリジナルにはスタンバイスイッチが入っていますが本機には入れていません。 無理な動作(設計)をさせたりしなければ真空管の寿命を短くしたりする心配は全くありませんから安心してください。 それでもスタンバイスイッチを付けたいという場合は高電圧に耐えられるSWにして下さい。
本機は完成後バイアス電圧の調整が必要です、スピーカーを接続してすぐに音を出すことは出来ません。
TONE回路の周波数シュミレーション (実測値ではありません)
部品リスト
真空管は通販で簡単に入手できると思います、5AR4は回路図では直熱管になっていますが、入手できるのは傍熱管だけです。 出カ管は2本の特性が揃ったペアー管を使って下さい。
本機は初段管にシールドをしませんでしたが、ノイズが心配でしたらシールドケース付きのソケットを使用して下さい。
電源トランスはノグチトランスの、PMC-150Mを使用します。 チョークトランスはPMC-1010Hで10H 100mAの物を使用しました。 回路図にはインダクタンスの値は書かれていませんでしたが、10H〜20H位の物が使われていると思われます。
出カトランスはノグチトランスのPMF-15Pで、1次インピーダンスは8KΩで使います。
シャシーはノグチトランスの「お助けシャシー」の中に2MM-170と言う穴無しシャシーが販売されています、これは板厚2mmで強度も十分、寸法的にも丁度良いと思います。
抵抗は酸金1W型を使用します、(グリッド回路は1/4WでもOK) B電源回路に10KΩ/2Wを一本使います。
シリコンダイオードはバイアス電源用のマイナス電圧を発生させる所に使います、耐圧は高い分には問題ないですから400V 0.5A以上の物を使って下さい、価格は高耐圧も低耐圧もあまり変わらないと思います。
コンデンサーは250pFと0.001uF(1000pF)はスチコンかマイカが良いと思います、0.1uFと0.047uFはフィルムコンデンサーを使いました、耐圧は500V〜600Vです。
電解コンデンサーはバイアス回路には33uF耐圧160Vを使いました。 B電源回路の22uFと47uF(ブロック型電解コンでも可)は耐圧450V〜500Vの物を使用してください、どちらも有るなら500V耐圧の方を買ってください。
ボリュームはトーン回路と音量調節用にはA型を、バイアス調整用の10KΩはB型を使用してください。
--実体配線図--
--調整および確認--
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