真空管ギターAMPの製作

真空管アンプを設計する時、まず最初に出カを何ワットにするのか決めます。 出カが決まったら次に真空管は何にするのか、3極管にするのか、5極管にするのか決めます、3極管は出カがあまり取れませんから、ギターアンプの場合は5極管(ビーム管)が多いです。 5W以下でしたらシングルタイプに、それ以上でしたらP-Pタイプにするのが一般的です。大型管を使えばシングルで5W以上も可能ですが製作費の点からも得策ではありません。
(手持ちに真空管やトランスがあるので無理矢理それに合いそうなアンプを作る場合もある)

出カと真空管が決まりましたら電源の整流はダイオードか整流管かを決めます、これで大体形が見えてきましたから、次に回路図を書いて行きます。 (電源トランスの電圧および電流容量、出カトランスの1次インピーダンス、真空管の動作点の決定や動作例などは専門書を参照して下さい)

回路図が出来上がりましたら次は実体図を描きます、紙に描いてもパソコンで描いてもOKです。 私は以前は紙に描いていましたが、描いては消しまた描くという作業がなかなか大変でしたが、パソコンで描く様にしましたら簡単に修正することが出来て大変便利です。
トランスや真空管の配置や真空管ソケットの向きによっては、作り難くなったり配線し難くなったりしますから十分検討して下さい。 入出カは接近していないか、グリッドとプレートは隣同士に配線されていないか、AC電源回路と信号線は平行して配線していないか、いままで学習したノウハウを全てつぎ込んで実体図を完成させて下さい、実体図が出来上がれば後はこれと同じに製作すればOKです。

配線はシャシーの裏側になります、トランス等の取り付けは表面になります。 シャシーをひっくり返した時、部品の配置は裏面と逆になりますから注意して下さい、間違えて逆に穴あけしてしまわない様に。



6GW8真空管ギターアンプ
以前製作しました6GW8ギターAMPを作り直しました。 前回はスピーカーBOXの中にAMPを入れていましたが、今回はアルミシャシーに組んだままです。 木製のケースやキャビネットを作ってAMPを入れれば持ち運びにも便利だと思いますが、私は木工工作が下手なのでAMPは裸のままです。 ケースは後でゆっくり作ることにします。

本機はカソードNFB(K-NFB)により、ダンピングファクター(DF)が増加して音質の改善等が期待できます。 またK-NFBのON、OFFにより入力感度やDF値や音質も変化させることが出来ます。 最大出カは3W、手のひらに乗る位小さなアンプです。



部品リスト

部品は以前製作した物をそのまま使いましたので、回路図や部品リストと写真は異なるところがあります、手持ちに使えそうな部品があればそれを使って下さい、リストと同じ物でなくてもOKです、但しコンデンサーの耐圧には注意して下さい。

真空管は東芝の6GW8Aを使用しましたが国産品の入手は難しいでしょう、通販で外国製が入手できると思います。 また春日無線で6GW8の14V管”PCL86”が2本¥1000で販売されていますからこの管が使えます。 トランスのヒーター配線が変わりますからこのPCL86を使う時には下図の様に配線して下さい。
トランスの6.3V巻き線を直列に接続して12.6Vで使います。 PCL86は13.3Vが正規の電圧ですが12.6Vでも問題ないと思います。 (PCL86   ヒーター電圧 13.3V、電流 0.3A、 ヒーター電圧は14.5Vとも言われていますが・・・)


電源トランスはPMC-55Fを使用します、電流容量が45mAですがこれより少ない電流の物は使えません。 出カトランスは、同じくノグチのPMF-6Wで、1次インピーダンスは7KΩ、2次側は8Ωで使います。

シャシーは手持の物(20cmX11cm)を使用しましたが、これより小さい寸法ですと作り難くなりますから、もう少し大き目の(23cm x13cm)位の方が良いと思います。

抵抗は酸金1W型を使用しました、各抵抗は十分な余裕をみて少し大き目のワット数にしています。 カーボン抵抗や金属皮膜抵抗を使いたいと言う方はプレートには1/2Wの物を使って下さい、グリッド回路には1/4W型で大丈夫です。 カソードの180Ωは2W型を、B電源の1KΩはセメント抵抗10W型を使用しました (5WでもOKですが、W数が小さいと発熱が大きいですから10W型が良い、抵抗値は調整を要す場合があります)。 音量調整VRは1MΩ A型を指定しましたが無ければB型でもOKです。

B電源回路に使っている10uFと47uFの電解コンデンサーは350V以上耐圧のあるものを使用して下さい、部品リストには450V耐圧で書きました。 C5は100uF位の方がリップル除去には有利です。 カソードバイパス用の47uFと100uFは余裕をみて25V以上の耐圧が有ればOKです。 大きさや価格は25Vも50Vもあまり変わりませんから、50V耐圧を買った方が良いと思います。
0.1uFのカップリングコンデンサーはフィルムタイプで耐圧は600Vの物を使いました。 このコンデンサーはペーパーコンでもMPコンでもオイルコンデンサーでもOKです、ビンテージ物を使う時は絶縁の良い物を使って下さい。

入力の1MΩボリュームは密閉型の方が良いと思います。 端子部分が空いているVRは、そこからほこりが入ってガリが出ます。

電源整流にはシリコンダイオードを使用しました。 発熱は少ない、スペースはとらない、取り付けは簡単、電流容量は大きい等、整流管に比べると良い所だらけです、1000V/0.5A以上(電流容量は0.5Aよりも小さくて良い)のものなら何でもOKです、私は手持ちに1000V/1Aの物が有りましたのでそれを使いました。 メーカーはどこの物でも良いです。
LEDの整流用ダイオードは耐圧を気にする必要は有りませんから高耐圧でも低耐圧の物でもOKです。 パイロットランプは抵抗入りのLEDを購入すればそのまま配線することができます。 直列にダイオードを入れていますがこのダイオードは無くてもかまいません。

ラグ板は3Pを5個使いましたが、3P〜7P位のものを少し余分に買っておくと急に使いたくなった時に便利です。形はL型を使いました。
フューズホルダーは何種類かありますが写真左の物を使いました、大きさによって中に入るフューズが違います。 写真右はホーロー抵抗10W型とセメント抵抗10W型、5W型。


(2006/6/10)

--実体配線図と内部写真--


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