小型音叉発振機

私は40数年くらい前に静岡県藤枝市にある某オルゴールメーカーの調律用測定器の製造とメンテナンスを20年近く行っていました、当時はまだ真空管式の大型音叉発振機や波形観測装置(オシロ)を使用しており、稼動時間が長いので頻繁に故障していました、調律は音叉発振機と波形観測用オシロが一セットです。
調律をする部署では発振機や測定装置の故障は致命的で、故障している間は、くし歯の調律が出来ませんから製品の完成が遅れてしまい、一刻も早く修理をしなければなりませでした。

トランジスター式音叉発振機も、内職用に個人宅でも使用できる様な小型の物がありました、調律するくし歯は18本ありますが、音叉の発振周波数は12種類で(高調波も使っていた)ロータリースイッチで周波数を切り替えて調律していました。
当時この会社で使用していたトランジスター式(下の写真のもの)音叉の発振周波数は   442.5Hz、457.5Hz、487.5Hz、517.5Hz、547.5Hz、577.5Hz、622.5Hz、652.5Hz、697.5Hz、742.5Hz、787.5Hz、832.5Hz で出力波形は矩形波でした。

下の写真は当時使われていた音叉発振機の基板です、トランジスターは NECの2SB113です。
この発振基板を実際に測定してみたところ、発振周波数が少しずれていました。これは長期間保管していた為に、音叉の金属部分が経年劣化したのかも知れません、しかし発振周波数は非常に安定していました。






抵抗値は当時のままです、プラスアースが不都合な場合はトランジスターを2SC1518にし、電解コンデンサーの極性を変えれば、マイナスアースで使用できます。



音叉発振機を使ったテープレコーダーテスターを1980年に製作しました、この測定器が現在まで残っていたので、写真と回路図を載せました。
この音叉発振機で標準テープも作りました、今でもカセットテープレコーダーの調整などに使えると思いますが、今はテープデッキが無いので、この測定器も長い間使っていません。







この当時非常に安定した低い周波数のサイン波を発生させる回路は音叉くらいしか無かったと思います、1965年ころに音叉を使用した腕時計がありました、水晶時計は装置が大型でとても腕時計に出来る大きさではありませんでした。下図が音叉時計の発振回路です、どこで入手したのか昔のことなのでわかりません。



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