測定器


オシロスコープ  歪み率計  CR発振器  低歪率発振器  ミリボルトメーター
周波数カウンター  可変DC電源  テストオシレター
パワーメーター   Trテスター  残響計  LCRプリッジ

ミリボルトメーターの製作

AMPの測定に欠かせない測定器の中でオシロスコープと発振器はパソコンでその一部を代用することができますが微小電圧の測定や広い帯域の測定には難しい所があります、今回はパソコンでは測定が苦手なミリボルトメーターを製作してみます。
あまり低い電圧まで測定しようとすると製作が難しくなりますので最低測定電圧はフルスケールで10mVとしました。

スイッチの都合でmVとVの切り替えはトグルSWで行います。



電源         006P 9V
入力Z        1Mohm
測定電圧      10mV〜100V (FS)
周波数特性    15Hz〜500KHz -3dB (1Vレンジ)

回路はFETのソースフォロアー+FETの二段増幅です、入力段は1V以上を1Mohmと10Kohmの抵抗で1/100に落としています、この抵抗は誤差1%のものを使用してください、またここについている50pFのトリマーコンデンサーで周波数を補償しています。
初段のFETには2SK-30A-Yを使いました、ここのソース側に使用したアッテネーター(ATT)の抵抗値は市販の1%のものがそのまま使えるよう組み合わせましたので少し高めの抵抗値になっています。
ロータリーSWは3段3回路12接点(アルプス電気のY-901)のものが良いと思います、私は手に入らなかったのでS1にはミヤマのトグルSWをS2には1段1回路12接点のロータリーSWを使用しましたが使い勝手はあまり良くありません、しかしSWまわりはあまり混みあわず配線は楽になります。

ロータリーSWで切り替えられた信号はFETの二段増幅回路に入ります、ここで約58dB増幅した後1N60で整流しメーターを振らせます、ここから前段のソース側へ電流帰還をかけていますので最終的には約41.5dB(約120倍)の増幅になります。
メーターはDC 100uAのものを使用します(大きい方が見栄えは良いが高価)、目盛は書き換えなくてもそのまま使用できますが5Vレンジの1〜5の数字は書き足しました、私は少し小型ですが使えそうなものが手持ちにありましたのでそれを使いました。

入力のコンデンサー0.1uFは耐圧400V以上のものを使用します、それ以外のものは25V耐圧のものでOKです、2000pFはスチロールコンデンサーを50pFはセラミックトリマーコンデンサーを使いました。
抵抗はATTの部分は1%誤差のものを使用しましたので無調整で実用確度が得られました、それ以外の所は1/4Wのカーボン抵抗で良いでしょう。
ダイオードは1N60を使用しましたがゲルマダイオードならOKです、できるだけ二本の特性が揃ったものを使います、私は選別せずに使いましたが問題はありませんでした。

FETは回路図に書いたIdssのものを使用しましたがこれ以外のものを使用するときはソース側の*印の抵抗の調整を要します、調整は信号を入力した時出力波形が上下同時にクリップするようにします。(調整する時はNFB回路は外しておく)以上がすんだらアルミケースに組み込みます、使用したケースはテイシン電機のTD-356Aというもので110X150X60mmの大きさです。


調整および校正
測定器の精度に関わりますので入念に行います、オシロスコープと発振器それとミリボルトメーターが必要ですがその全部を持っている方ばかりではないと思いますので今回はデジタルテスターだけで行います。
100Hz位の信号(サイン波)が出る発振器を用意します、efu氏のホームページにWave Geneというテスト信号を発生させるフリーソフトがありますのでこれを使っても良いでしょう、発振出力には10K〜50KohmのVRをつけ電圧を可変できるようにしておきます。

50pFのトリマーコンデンサーは中間にセットしておきます。VRの中点から100Hzの信号を出しておきここへデジタルテスターとミリボルトメーターを接続します、VRを調整してデジタルテスターで出力電圧が1Vであることを確認します、次にミリボルトメーターのレンジを1Vにしメーターが1Vを指すように基板につけたVR100ohmをまわします、ピッタリ1Vに調整できたら今度は発振電圧を0.5Vにします、この時メーターの針が中間の0.5Vの所を指しているのを確認します、レンジを500mVに切り替えた時に針が500mVの所を指しているのを確認します。この様にして10mVまでレンジとメーター表示が正しいか確認をします、ATTに1%誤差の抵抗を使用していますので一発で合うと思います。(多少の誤差はある) 5V以上は発振出力が出ないので確認はしませんが問題無いと思います。

広帯域の発振器があるとき
今度は周波数の補正を行います、ミリボルトメーターのレンジを5Vにします、発振器の出力電圧を5V(3V〜5VでOK)に設定し周波数を20Hz〜500KHz位の範囲を変化させメーターの指示を見ます、できるだけ高域までフラットに表示するように入力側の50pFのトリマーコンデンサーを調整します。

* 注意 *
ロータリーSWのY-901が入手できなかったので回路を少し変更したのですがその時勘違いをしていました、SW部分は下の回路図でよかったのですが、つい1段12接点(Y-701)のSWを買ってしまいました、S1.S2と二つのSWを使う時は1段5接点(Y-100)のもので良かったのですが...... 配線をする時になって気がついたのですがもうSWも買ってしまったのでこのまま作る事にしました。まあ間違ってはいないのですが無駄なことをしました。
前面パネルは使用するSWにあわせたデザインにしてください、Y-901とY-100では切り替えレンジの表示が変わります。

本当は上の写真の様なロータリーSWにするつもりだったのですが。シールド板はウエハーを外してそこへ取り付けてあります。


今回の「ミリボルトメーターの製作」はいかがだったでしょうか、 エフェクターやパワーAMPを製作した時にその性能が設計どうりになっているかどうか測定してみなければ分かりません、それにはどうしても測定器が必要です。
自作した測定器やAMPが始めから誤差が少なく高性能で無くても良いと思います、次に作る時はもう少し性能を上げ、これを繰り返していくうちに製作や調整のノウハウが蓄積されてより高性能なものが作れるようになって行くのではないでしょうか。
(2002/10/24)


レベルメーターの製作  < LV-01 >

測定器の必要性は感じるが、数回しか使わないものに高い金額をだすのはもったいないと言う方のために、超低価格でできるレベルメータを紹介します、超簡単な為に使い勝手は悪いです。

長所  FET一石のみで製作が容易、周波数特性が良い。
短所  小型メーターなので見にくい、目盛を手書きしなければならない、精度が悪い、微小電圧が測定できない、電圧が読めない、dB表示が前後数dBしかない等悪い所を挙げればきりがありません、それでも良かったら作ってください。



電源       006P 9V
入力Z      1.1Mohm
測定範囲    +3dB〜-6dB
周波数特性  10Hz〜500KHz -1dB

入力のアッテネーター910Kohm (回路図では1Mohmになっている) と100Kohmで信号を1/10にしていますが、この比率は使いやすい値にして良いでしょう。
FETはIdss2.6mAのものを使いましたが選別したわけではありません、手に入ったものを使えば良いです、ここで約10倍増幅しています。ゲインは使用するメーターの感度にもよりますが10〜20倍あれば良いでしょう。
メーターはDC 200uA位のものを使いましたが入手できるものでよいでしょう、後で目盛を書き込むので白色の方が良いと思います、入手したメーターにははじめから目盛が印刷されていましたがその目盛の上にサインペンで上書きしました。

調整
最初にFETのドレイン抵抗の調整を行います、この時VR10Kohm以降はまだ接続しません、入力にサイン波を入れ波形の上下が同時にクリップするように抵抗を増減します、上下同時にクリップしないときはその近辺の値でOKです、この時ゲインも確認しておきます低すぎる様でしたらFETを交換するか抵抗値を増やしてみます、全部できたらケースに組み込みます。
動作確認をしたら入力側の50pFのトリマーコンデンサーの調整をします、切り替えSWを0dB 1V側にします、広帯域の発振器を用意します、発振器がない場合は調整できませんのでそのままにしておきます、調整はミリボルトメーターの時の要領で行えば良いでしょう。C1は本機では付けませんでした。
書き忘れましたがこのトリマーコンデンサーを調整する時は金属製のドライバーを使うと容量が変わるので使用できません、専用の物がありますがそれを買わなくても竹串の先端を細く削ってドライバーの代わりにすれば良いでしょう。


目盛の書き込み
発振器の出力にVRをつけて電圧を可変できる様にします、 次にメーターの透明カバーを外して書き込みの準備をしておきます。
発振周波数は100Hz位のサイン波にします、こにデジタルテスターと本機(レベルメーター)を接続します、dB切り替えSWは0dB 1V側にします、発振出力を1.41Vにしデジタルテスターで確認します、メーターの振れはフルスケールのところに針がくるようにVR10Kohmで調整します、この位置が+3dB の所です、大体よければVR10Kohmはこの位置で固定します。
今度は目盛を書きます、極細のサインペンが良いと思います、発振出力を1.41Vにします、メーターの針の指したところに点を書いてここに+3dBと記入します、次に電圧を1.26Vに下げます、ここが+2dBです、次に1.12Vにします、ここが+1dBです次に電圧を1Vにしますここが0dBです。
以下
0.89Vが-1dB
0.79Vが-2dB
0.71Vが-3dB
0.63Vが-4dB
0.56Vが-5dB
0.50Vが-6dB
0.316Vが-10dBです

これで目盛が完成しました、SWを-20dB 0.1Vレンジに切り替えて表示を確認します、小さなメータ−を使用した時はメモリは書きにくいですからあまり精度が良くなくても良しとします。
最後にもう一度メーターの指示等を確認して調整を終わります。

このレベルメーターを使う測定といえば周波数特性でしょう、+3dBから-6dBの範囲の特性図が取れます、目盛の精度は低いとしても有ると無しでは大違いです。その他には可聴周波数外の発振の確認にも使用できると思います。
(2002/11/01)

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