4RHH2 差動ラインアンプ

4RHH2のラインアンプ第2弾です。 今回は差動回路を製作します、回路はぺるけ式を参考にしましから、回路図での各定数もほとんど同じになりました。





使用部品
真空管(4RHH2)は手持ちに日立、NEC、TEN、FUTABA製の4メーカーがありますから差し替えて音質差などのテストして見ることにします。 下の真空管規格一覧表を見ていただければ、6DJ8、6922、6BQ7Aなどと同じ様に使えることがお分かりいただけると思います。4RHH2は6DJ8と6BQ7Aの丁度中間の特性で、6DJ8、6922よりも使い易いと思います。 (5670は足のpin配置が異なりますからそのまま差し替えは出来ません)
抵抗はプレート部分には酸金の2W型を、B電源回路には1Wの酸金を、その他の回路には1/4Wカーボン抵抗を使用しました。 ヒーター回路は整流後の電圧が丁度8.4Vになりましたので電圧調整用抵抗は付けませんでした。
出力用のカップリングコンデンサー1uFはフィルムタイプの耐圧250Vを使用しました。 倍電圧回路の電解コンデンサー100uFは耐圧200V、B電源回路の47uFと22uFは耐圧350Vの物を使用します。 ヒーター回路の2200uFと1000uFは耐圧16VでOKです、ブリッジダイオードは電流容量1A以上のものを使用して下さい。 高圧整流用のダイオードは600V/1Aを使いました。
LEVEL VRは密閉型の50k B型2連を使用しました。
カソードの定電流用FET 2SK-30Aは2本(3本)並列で約7mA流しています、7mAキッチリでなくて6mA〜8mAの範囲なら大丈夫ですから入手できる値のものでOKです、取り付けは小さな基板を作りラグ板に半田付けしています。
電源トランスはトランジスター用の低電圧の物が手持ちにありましたからこれを使用しました。2次側の電圧80V(50V+30V)を倍電圧整流して約220Vの電圧を取り出しています。
ケースは使いふるしたアルミシャシーをクリーム色に塗装して使いました、寸法は27cmx15cmの大きさですが、もう少し大きい方が作り易いと思います。 部品点数も少なく、真空管を縦置きにしているので配線しやすく簡単に製作することが出来ました。

回路図を見ていただくとマイナス電源回路にダイオードD3がつけてありますが、これはラインアンプの電源をパワーアンプの電源より先に切った時、真空管はまだ動作状態にあるのに、ヒーター電圧が急激に下がりそれにともなってマイナス電圧も無くなってしまい、スピーカーからノイズが出るという問題がありました。 このダイオードD3は電源OFF時にマイナス電圧が4RHH2のヒーターを通して逆流しない様にし、スピーカーからのノイズを出にくくしています。






製作
電源回路とヒーター回路は小さな基板を作りそこに全ての部品を載せています。 基板はプラスチック カッターで切り込みをいれた後、銅箔をはがして行きます、複雑な回路でなければエッチングするより簡単に製作できます。 基板図は部品側から見た図で、半田面は裏側になります。 本機と同じ部品配置で製作する場合は真空管ソケットの取り付け向きを実体図と同じ向きにして下さい。 ケースに穴開けをする時は、真空管やラグ板や電源、ヒーター基板を実際に置いて穴開けの位置を決めて下さい。 入カ側と電源トランスやAC回路は最も離れる様な配置にした方がトラブルが少なくなります。 真空管ソケットの9ピンとセンターピンはアースして下さい。(4RHH2の9ピンはシールド板に接続されている)  各アースはまとめてアースポイントの所の1点でシャシーに落として下さい。

調整および確認
配線やCRの取り付けが全て終了し誤配線がないか確認しましたら、AC100V回路がショートしていないかテスターで確認して下さい、OKでしたら今度はB電源部分がショートしていないか、47uFの電解コンデンサーにテスターを当てて確認して下さい。 またヒータ回路もショートしていないか確認して下さい。
全てOKでしたら、真空管を全て差し込んで電源を入れます。 この時煙が出ていないか、焼けた匂いがしないかも注意して下さい。 次に各部の電圧を測り正しく電圧が出ているか確認して下さい、また真空管のヒーターも点灯しているか見て下さい。 これらがOKでしたら今度はヒーターに8.4V位の電圧が出ているか確認して下さい。 本機はトランスのヒーター電圧が8Vでしたが、12V/1A位から取る場合は整流後の電圧が15V位に上がりますから、平滑用コンデンサー 2200uFと1000uFの耐圧を25Vに変更して下さい、またヒーター電圧調整用の抵抗(RH)に 10Ω/10W位のセメント抵抗を取り付けて下さい、抵抗値はヒーター電圧が8.4V近辺になる様に調整が必要になるかも知れません。
調整、確認が終わりましたら測定します。 測定器が無い場合はパワーアンプとスピーカーを接続してハムやノイズが出ていないか調べて下さい、ハム、ノイズが全く出ない様に仕上げて下さい、本機はLEVEL VRを最大にしてもハム、ノイズは全くありませんでした。

測定
下図が実測した周波数特性と歪率特性です。 周波数は5Hz〜500kHz -2dB、歪率は100Hz、1kHz、10kHz共良く揃っていて好ましい特性です。 残留ノイズは入力ショートで100uV以下でした。 4メーカーの真空管を差し替えて測定してみましたがほとんど同じ測定結果でした(測定誤差範囲内)、音質差はまだ短時間しか聞いていないので良く分かりません。






(注意) 本ページと同じものを製作し同じ結果が出なくても当方はその責任を負いません。本ページには高い電圧を扱っている所があります、ショートや感電等の事故で人体への損傷、障害、死亡また火災等が起きてもその責任を負いません。