BOSS OD-1 レポート

オーバードライブの名機、オーバードライブの定番等、BOSS OD-1の評価は下がることを知りません、今回はそのOD-1をレポートします。  測定データーと音質はイコールではありませんからそのつもりで ・・・・・

OD-1を持っていませんのでオリジナルの測定ではありません。下の写真左はOD-1の回路を万能基板に組んだもので、実際の物とは部品や配置が違いますが、特性上では変わりは無いと思います。
写真にはリード線がたくさん写っていますが、これは電源ラインとアースラインで、信号線を引き回しているのではありません、念のため。
組み上げた回路は信号の通るところだけで、フリップ フロップ回路と、FETのスイッチ回路は作りませんでした。
使用したTrは2SC732、ICはJRC4558D、ダイオードは1S1588です。 全体の回路図は今回は載せませんでした。

オシロの写真を見ながら説明をして行きます。
下の写真 中は入力電圧50mV、OVER-DRIV VR(VR-1)を最小にした時の出力波形で歪みは見られません、右側の写真はVR-1を最大にした時のものでノコギリ波に近い波形です。 (測定周波数は800Hz)
OD-1の歪み波形は信号の片側が先にクリップした非対称波形だと思っていましたのでノコギリ波は以外でした。

                          IN=50mV VR1=最小      VR1=最大

電源電圧      9V
増幅率       68倍 (800Hz)
周波数特性    300Hz〜3KHz(-6dB)
残留ノイズ     0.15mV (入力ショート 各VR最大)


周波数特性は低域も高域もありません、中域のみの蒲鉾型(かまぼこがた)で帯域は狭いです。
残留ノイズは基板が裸での測定ですからケースに入れればもうすこし少なくなるでしょう、0.15mVでは当然ノイズは聞こえません。

VR-1を最小にした時 (ブースターとして使う時) どれ位の入力電圧で歪みはじめるのかを調べる為に入力を上げていったところ約100mVで信号が歪みはじめました(写真下 左)、 この時の出力電圧は約250mV、2.5倍でした。 写真 右はこの入力電圧の時、VR-1を最大 (右いっぱい回し) にした時の出力波形で、相変わらずノコギリ波の様な形です。(周波数800Hz)

入力100mV、出力250mV

今度は周波数を変えて波形を見てみます、下の写真 左がVR-1最大、入力電圧10mV、300Hzの出力波形で上下非対称になっています、このまま入力電圧を上げていったところ60mV位までは何とか非対称波形を保っていましたが、それ以上ではノコギリ波に近ずいて行きます、中側の写真は周波数を800Hzまで上げた時のものです。  (約350Hz以下で非対称波形になる)
この様に出力波形がノコギリ波になる理由は、ICの二段目が積分回路になっているからでしょう。
このまま周波数を3KHzまで上げたところ今度は波形が三角波に変わって来ました。(写真 右)
  
写真 左は300Hz           写真 中は800Hz          写真 右は3KHz


下の写真は入力10mV、300Hzの時OVER-DRIVを左から右へ回していった時のものです。
この周波数ではVRが12時の位置より右側は上下非対称波形になっています。
  
f=300Hz、左 9時      中 12時          右 3時

下の写真は入力10mV、800Hzの時OVER-DRIVを左から右へ回していった時のものです。
この周波数ではVRが9時の位置より左側ではサイン波形に近いですが、それより右側ではノコギリ波に変わって行きます。
  
f=800Hz、左 9時      中 12時          右 3時

下の写真は入力10mV、3KHzの時OVER-DRIVを左から右へ回していった時のものです。
この周波数ではVRがどの位置でも三角波になっていました。
  
f=3KHz、左 9時       中 12時          右 3時



efu氏の"WaveSpectra"を使って波形を観測してみます。

下のグラフは周波数特性を測定したもので、広帯域に見えますが、-40dBのラインを見ると、150Hz〜3.5KHz(-15dB)位の特性になります。 550Hz位の所にあるへこみや20KHz近辺のひげは実際の測定ではありません。
このグラフから800Hz付近が一番ゲインが大きいことが解かります。



OD-1は使われているIC 4558の種類によって音質がかなり違うようですが、その違いの原因はどこにあるのでしょうか? すぐに思いつくことは内部に使われているTrの違いや、メーカーの違いによる回路や設計の違い、また高調波の発生のしかたの違いによるものなどいくつかあると思います、そこで高調波の出方を見てみることにします。
下のスペクトラム波形は基本周波数300Hz、入力電圧30mV、VR-1最大でサイン波の上側がクリップした非対称波形で測定しました。 ICは下の五種類のものをテストしました。  測定条件は同じです。

 上の波形はJRC4558D、 シリアルNo,2103B 、これは5年位前に購入したものです。

 上の波形はJRC4558D、 No,3088B、この測定をするために最近購入しました。 上の波形と似ている。

 上の波形はJRC4580D、 上の4558Dと比べて偶数高調波が大きい、また3KHz以上の高調波が少し違う。

 上の波形は日立HA17458、 これも偶数高調波が少し違う。

 上の波形はテキサスTL072C

上のスペクトラム波形を見ると高調波の出方が少しずつ違いますが、これが音質の差になって現れるのかもしれません、また出音は偶数高調波が多い方が良いのか、奇数高調波が多い方が良いのか、初期のOD-1に使われていたICの高調波はどうなのか等、考えればきりがありません。 音が良いと言うICはどの様な波形なのでしょうか?

それから実際にICを付け替えて音出しをしていませんので、その違いはわかりません。  ゴメン !
(2004/01/15)

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