Fuzz Face レポート


Fuzz Faceの基板を作りましたのでどの様な特性かデーターを取ってみます。
基板に組んでテストしましたがケースに入れて完成はしていません。



電源電圧      9V
増幅率       600倍 (1KHz)
周波数特性    40Hz〜10KHz (-3dB)
入力Z        3.6Kohm (1KHz)
出力Z        9.6Kohm
残留ノイズ     1.5mV (各VR最大)
測定時室温    30度


回路の動作は一庵堂さんが詳しく説明されていますのでここでは省略させていただきます。
トランジスターは2SD187(ゲルマ)を使用しましたので電源の極性を逆にしました、電解コンデンサーの極性も逆にします。回路図ではプラスがアースですが製作した物はマイナスがアースです。

ゲインの調整は交流負帰還量(NFB)を変えて行っています、1KohmのFuzz VRを最大にした時NFB量が最小(交流分は20uFを通してアースに落ちる)になり、ゲインが最大になります、逆にVR最小にした時NFB量は最大になり、ゲインは最小になります、このVRでゲインが約25dB変化します。
周波数特性は100Hz付近に+3dBの盛り上がりがありますが、わずかですので低音をブーストしたようには聞こえないでしょう。(Fuzz VR最大)
残留ノイズは1.5mVですがこれは基板を出したままの測定なのでケースへ入れて測定すればもう少し良くなると思います。

下の写真の左側は室温30度の時の出力波形で入力が0.5mVの時、上下がほぼ対称にクリップしています、出力電圧は約230mVで入力電圧を上げても出力電圧はわずかしか増加しません、波形ももう少し角張ってくるだけです。
中の写真は同じ入力0.5mVの時で室温が20度の時の出力波形で、この時の出力電圧は約70mVです。入力電圧を5mVまで上げていった時のものが右側の写真で出力電圧は約170mVでした、入力をこれ以上あげても出力電圧も波形も大きくは変わりませんでした。 (測定周波数 1KHz)

左は室温30度、入力0.5mV、  中は室温20度、入力0.5mV、 右は室温20度、入力5mVの時の出力波形


温度特性を調べる為に基板を冷やしたり、ドライヤーで暖めたりしているうちに、トランジスターの調子が悪くなってしまいました、古いTrを外して同じ型番の新しいTrに変えて測定をしたところ、各データーが少し違っていました。大きく違った所は増幅率が200倍、Fuzz VRの変化範囲が約15dB、残留ノイズが約5mVになっていました、これはTrを選別せずに使ったからだと思います。

下の写真左側は取り替えたTr(増幅率の低いもの)の室温30度の時の出力波形で、サイン波の上側がクリップしています、入力電圧は0.5mV、出力電圧80mVです、中の写真 サイン波形は、室温20度、入力0.5mV、増幅率200倍です、右側の写真は同じ20度、入力1.5mVのもので、波形の上下がクリップしています、出力電圧は約200mVで、入力電圧を上げても出力増加はわずかで、波形も少し角張ってくるだけです。
今度は室温10度の時を測定してみます。9月では気温が高いので、基板を冷蔵庫に入れて冷やしました、増幅率は室温20度の時より少し下がりましたが大きな差はありません、波形もほとんど変わりませんでした。
ついでですから温度を30度以上にあげてみます、ドライヤーの熱風を基板に当てつずけたところ、波形がどんどん小さくなってしまいました、(増幅しなくなってしまう) またトランジスターを壊すともったいないのでこれ以上はやめにします。

真夏に太陽がFuzz Faceにあたりケースが焼けているような所での使用は要注意。

以上の測定は各VR最大の時のものですが、Fuzz VRがどの位置にあっても直流帰還量は変わりませんから、温度特性のデーターに変わりは無いと思います。

上のデーターを見ると、増幅率の大きいTrは温度が大きく変わると波形の変化も大きいことがわかります、このことは音質の変化も大きいと言うことです。増幅率が大きすぎない、ほどほどのトランジスターが使いやすいように思いました。
オリジナルFuzz Faceの増幅率はどれ位なのでしょうか?

左は室温30度、中と右は20度の時の出力波形

それから、演奏途中にラジオ放送が混入する現象があると言うことなので、この件もテストしてみました。放送波が入ると言うことは、どこかで信号を検波していると思われますので、試しにゲルマ ダイオードとアンテナの替わりのビニールコードをつけて色々やってみました、(鉱石ラジオ?) コードを丸めたりアースに近ずけたりしましたがラジオ放送は入ってきませんでした。
ラジオの送信アンテナから私の家まで6Km位ありますから電界強度が足りないのかもしれません。
この方法ではだめかもしれません、他の受信方法も考えられますが、もともとラジオとして設計しているわけではありませんから上手く入らなくても仕方がありません。(ラジオが入る方が異常)
偶然、ある条件の時だけに起こる現象を再現させるのは難しいので今回はあきらめました。



ゲルマニュウムトランジスターの温度特性があまり良くありませんので、全く同じ回路をシリコンTrで作って比較してみます。
使用したトランジスターは2SC-1815GRです。

増幅率は約800倍、これは出力波形がクリップしていない状態での測定です。下の写真 中は入力電圧0.5mVの時、出力電圧は150mV、この時サイン波の下側がカットオフしている様な波形になっています。 写真 右は入力を5mVまで上げたとき、出力は約200mVあり、このまま入力電圧を上げていっても出力電圧、波形とも大きな変化はありませんでした。 (波形の上下がクリップしてる。)
Fuzz-VR 1Kohmでゲインが約20dB変化します。 (測定周波数 1KHz)
周波数特性は50Hz〜30KHz -3dBです。残留ノイズは入力ショートで0.6mVでしたからゲルマよりだいぶ良い値です、これも基板は裸での測定ですからケースへ入れればもう少しノイズも少なくなるでしょう。

  シリコン版 Fuzz Face

このシリコン タイプも低増幅率のものに取り替えて測定してみました、Trは2SC372です。増幅率は350倍、周波数特性は30Hz〜30KHz、残留ノイズ0.3mV、Fuzz VRの変化範囲は15dBでした。Trを変えたら低域特性が良くなりました。
シリコン タイプのものは、基板やトランジスターをヘヤードライヤーで暖めても特性はほとんど変わりませんでした。(温度特性が良い、波形も変化しない) 出力波形は2SC1815とほとんど同じなので写真は載せませんでした。

結論 
シリコンの方が断然安定度が良い、どの様な条件でも出てくる音は一定、ゲルマの様に温度によって音質が変化しない。
しかしゲルマにはゲルマにしか出ない音があり、シリコンにはシリコンの音がある。
音の違いはどうかと言うと、聞き比べていないのでわかりません。  ゴメン !

注意   オリジナルのFuzz Faceのデーターが今回測定したものと同じかどうかは解かりません。
(2003/10/15)

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