真空管ディストーションAMP の製作    < DS-L5 >

以前、真空管の6BN8を使ったディストーションAMP(DS-N8)を製作しましたが、ヒーター電流が600mAも流れ、ACアダプターも大きな容量のものを使用しなければなりませんでした。 今回は少ないヒーター電流の真空管にし、回路ももう少し簡単にしましたのでこちらの方が製作し易いと思います。
バラックで製作しましたが、ケースに入れて完成させていませんので写真はありません。


回路説明
信号はFETで約50倍に増幅して次の真空管クリップ回路に入れているだけです。 本回路では入力に15mV以上の信号が入れば出カにはクリップした波形が出てきます。
出カはスイッチ(S1)で下側だけがクリップした波形と、上下がクリップした波形を切り替えて取り出すことが出来ます。 スイッチを切り替えた時にそれぞれの電圧が同じ位になる様にR6の抵抗値を調整して下さい。 調整には発振器とミリボルトメーターが必要ですが、なければ回路図と同じ抵抗値で良いでしょう。 出カ電圧はVR最大で約200mVでした。

部品リスト

FETは2SK-369BLを使いました、これ一石で50倍増幅していますが、それほど増幅しなくても良いのでしたら、2SK-117GRや2SK-30AGRでも良いと思います。 他にも使えそうなFETは多数有ると思いますから、手持ちの物を試して下さい。

真空管は12AL5を使用しましたが電源を6Vにすれば6AL5が使えます。 この真空管は、昔FMチューナーやテレビの音声検波に使われていました。 ヒーターは12AL5が12.6V 150mA、6AL5が6.3V 300mA、です、同じシリーズで3AL5が有りますが、これはちょっと使い難いと思います。 この真空管は少し小型で足は7pinですから7pinのMTソケットを使用します。

抵抗は金ピ(金属皮膜)を指定しましたがカーボン抵抗でもOKです。 真空管のpinに半田付けする抵抗は2Pまたは3Pのラグ板を使って配線して下さい。 コンデンサーはフィルムと電解コンデンサーを使用しました。

アースは入出カジャックの所でシャシーにアースしていますが、このジャックを絶縁タイプにした場合シャシーにアースされなくなってしまいますから、他の所にアースを取って下さい。
フットスイッチは、6pinのミヤマ DS-008を使いましたが、LEDを付けるのでしたら9pinのフットスイッチに取り替えて下さい。

トランス型のACアダプターを使う場合、出カ電圧をテスターで測った時、DC15V〜18V位の電圧が出ているものが必要です。電流容量は300mA以上ある物にして下さい。 スイッチングタイプのアダプターを使う時は出カ電圧は安定していると思いますから7812のレギュレーター回路は必要ありません。

下図は内部配置と外観をイメージした物を描いて見ました。

下に実体配線図と基板図を載せました。 プリント基板図は部品側から見たもので、半田面は裏側になります。


ケースに穴あけをする時は、実際に真空管やプリント基板を載せて位置決めをして下さい。 真空管を抜き挿し出来るスペースが必要です。 真空管ソケットの取り付けは1mm厚のアルミ板を加工して取り付けて下さい。 真空管は増幅していませんから、どの様な向きに取り付けてもトラブルは起きないと思います、配線し易い向きでOKです。 真空管は振動で抜け落ちない様に押さえを付けるか、シールドケースを付けた方が良いでしょう。
基板はスペーサーを入れてシャシーから浮かせてください、7812は基板の上から付いている様に描いていますが、実際は基板の下側から付けています。 シャシーに取り付けて放熱しますから、足は折り曲げ加工して下さい。

基板をシャシーに取り付ける時は水平になる様に取り付けて下さい。 図の基板の取り付けネジは左側2ヶ所ですが、これですと基板が変形すると右側がシャシーに接触します。 出来たら基板の右側にもネジを付けた方が良いと思います。 そうでなければ基板の下側にシャシーとのショート防止用に、下敷きの様な薄いプラスチックフィルムを敷いておけば安全です。


FET二段増幅+真空管ディストーションAMP   < DS-L5-F2 >

いつもFETの一段増幅では面白味がありませんから、FET二段の回路も作ってみました。 FETは2SK-30AGR、Idssは4.1mAの物を使用しました。 FET部分の調整は正弦波を入れた時、上下が対称にクリップするようにソース抵抗を調整して下さい、対称にならない時はそれに近い所で固定して下さい。 増幅率は同じ50倍です。 全体ではDS-L5の回路となんら変わりはありませんから他の説明は省略します。

下に追加分の部品リストを載せます。



OPアンプ+真空管ディストーションAMP   < DS-L5-OP >

FETがOPアンプに変わっただけで、DS-L5の回路となんら変わりはありません、増幅率は約50倍です。 R3の抵抗値を変えれば増幅率を変えることが出来ます。 OPアンプはTL071でシングルタイプですから、同じ様なOPアンプでしたら差し替えて使用することが出来ます、8pinのICソケットを使用して下さい。 このアンプは調整箇所はありません、配線間違いが無ければ必ず動きます。
動作が不安定の時はOPアンプの7pinとアース間に、0.01uF〜0.1uF位のセラミックコンデンサーを付けて下さい。
 


下に追加分の部品リストを載せます。


この3種類のAMPは音出しをしていませんから、どれが良いか悪いのかわかりません。  ゴメン!!
回路図どうりにAMPを製作しても、出音は貴方の好みに合っているかどうかわかりません。 音の好みは味覚と同じで十人十色です、貴方の好みに合った音に仕上げることも必要だと思います。
(2005/11/10)

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