フェンダー チャンプ サービスノート

フェンダー チャンプを製作したが調子が悪い、音が出ない、故障してしまったと言う時に見ていただくページです。

シャシー内部は高電圧が掛かっています、感電事故などが無いように注意して作業してください。


最初にどの様な症状かを見て、電源かプリAMP部分かパワーAMP部分かの見当をつけておくと良いと思います。
出カにはダミー抵抗を接続して下さい、スピーカーを付けてはいけません。

電源が入らない、パイロットランプのLEDが点灯しない
ACプラグをコンセントから抜いて下さい。 AMPを製作して最初に電源を入れる時にヒューズを入れ忘れることがよく有ります、OKでしたら次にヒューズが切れていないか調べてください。 またACプラグから電源トランスまで配線忘れや半田付け不良が無いか調べてください。

フューズが飛ぶ
これは下の回路図のB1回路がアースとショートしていないか調べて下さい。

電源は入るが音が出ない、調子が悪い時

用意する物は
1) テスター-------------デジタルでもアナログでも良いです。
2) ラジカセ-------------発振器の代わりです、信号は音楽でも発振音でもOKです。
3) ダミー抵抗-----------8Ω/10Wのセメント抵抗を1本用意します。パワーAMPの出カ測定のページを参照してください。
4) VR回路--------------これは、真空管オーバードライブAMP サービスノートの時に製作する同じ物です。
5) 接続ケーブル--------マイクプラグやpinプラグの付いた物を各種用意してください。
6) 高電圧真空管回路用シグナルトレーサー

はじめに下図の様に接続します、TONE VRは中間に、音量VRは最小にして下さい。



ダミー抵抗を接続します、音量VRを最小にします。
最初にAMPの電源を入れ、B1(336V)、B2(333V)、B3(313V)に電圧が出ているか確認します。ここに電圧が出ていなければ整流管の不良を疑います、予備の球があればそれに取替えて見ます、また配線間違いや半田付け不良が無いかも注意して下さい。 ここまでOKでしたらAMPの電源を切ります。

ラジカセから信号を出します、音楽でも発振音でもOKです、音量はラジカセのVRとVR回路のVRで適当な大きさにして下さい。
AMPの音量VRは最小になっているか確認してから電源を入れます。
ラジカセの信号を入力の(1)または(2)に入れ、A点、B点、C点で音が出るのをシグナルトレーサーで確認します。ここで音が出なければ、これより前の入力ジャックや入力ケーブルを調べます。

OKなら次にD点で音が出るのを確認します、この時ラジカセからの信号が大きすぎ無いようにVR回路のVRで調整してください。 ここで音が出なければ、プレート電圧をテスターで測ります。電圧(202V)が出ないかまたは極端に低い電圧ならばプレート抵抗100KΩの断線です。
電圧が出ているが電圧値が異常の場合は真空管(12AX7)不良を疑います。 また電圧が高すぎる(B3と同じ電圧)ならば真空管ソケット1pinの半田付け不良、またはカソード抵抗1.5KΩの断線、または半田付け不良。 E点に電圧が出ない時も真空管の不良を疑って下さい、E点の電圧は約1.65Vです。

D点までOKでしたら次はF点で音がでるか確認します。ここで音が出なければTONE回路やVR回路の配線間違いです、TONE回路のコンデンサーの値が少し位違っていても音は出ます。
音量VRを回してF点で音が変化するのを確認します。

F点までOKでしたら次はG点で音が出るか確認します、この時音量VRも回します、もし音が出なければG点の電圧をテスターで測ります。 電圧(205V)が出ていなければ、プレート抵抗100KΩの断線または半田付け不良を疑います。 電圧が出ていれば真空管の不良が考えられます。 異常に高い電圧(B3と同じ電圧)ならばカソード8pinの半田付け不良、またはカソード抵抗1.5KΩの断線または半田付け不良です。 H点の電圧は約1.66Vです。 H点の電圧が低すぎる時も真空管不良かも知れません。

G点まで正常でしたら次はI点で音が出るか確認します。 音が出なければグリッドにつながっている0.022uFの不良か半田付け不良を疑います。 また出カ管プレート3pin(I点)の電圧が325V位掛かっているかテスターで確認します、電圧が出なければ出カトランス1次側の断線かも知れません。  I点の電圧が異常に高い(336V位ある)場合は出カ管に電流が流れていないかもしれません、カソード抵抗470Ω/5W(510Ω/5W)の断線、または半田付け不良を疑って下さい。 J点の電圧は約21.7V(510Ωの時)です。  出カ管の予備が有るなら取り替えて見て下さい。
今度はスクリーングリッド4pinの電圧が333V位あるかテスターで確認します、ここに電圧が出ていなければ1KΩ/3Wの抵抗の断線を疑います。 1KΩ/3Wが断線している時は12AX7に電圧が掛かりません、B2、B3に電圧が出ません、音も出ません。

ここまで正常ならK点で音が出るはずです。 スピーカーを接続して音が出ない場合は出カジャックの半田付け不良または接触不良、またはスピカーのケーブル不良またはスピーカー不良が考えられます。

トーン回路の音の変化がおかしい
この場合はコンデンサーやVRの値の間違いか配線間違いです。 この場所はたくさんの配線が集中しています一番配線間違いの多い所です。

ハムが出る  アンプの入カには何も接続しないで調べて下さい。
各アースは確実にシャシーに落とされているか確認して下さい。 ヒーター回路の片側がアースされているか確認して下さい。 密閉型のVRを使用している時は、VRのケースがアースされているか調べてください。
LEVEL VRを最小にしてもハムが出る場合はB電源回路のリップルが多いかも知れません、チョークトランスが付いていない場合は僅かにハム音が聞こえるかも知れません、使用する方がどこまで許容できるかです。 もう少しハム音を少なくするでしたら、B電源回路にチョークトランスを付けて下さい、チョークトランスの代わりに抵抗でもOKです。 それでもハム音が出る時はヒーター配線や信号線やアース線の引き回しを見直してください。 またスペア-管が有るなら真空管も取り替えて見て下さい。
他の サービスノートの頁も参照してください。

ザーノイズか大きい  アンプの入カには何も接続しないで調べて下さい。
ノイズが大きい時はまず最初にLEVEL VRを最小にしてノイズが出るか確認して下さい、VR最小の時でもノイズ出るならパワーAMP部分に問題があります、一番疑わしいのは真空管ですからスペアー管があるなら取替えて下さい。 これで直らなければ抵抗やカップリングコンデンサーやVRに問題があるかも知れません。
時々”ザザ、ブツブツ”と言う音が不規則に出るような時は、VRの接触不良、カップリングコンデンサーの絶縁不良、CR(コンデンサー、抵抗)の半田付け不良を疑って下さい、真空管不良の時も有リます。 半田付け不良を調べるには、プラスチック棒の様な絶縁された物で、CRを押したりたたいたりして調べて下さい。

LEVEL VRを最小にすればノイズが出ないが、最大にすると大きなザーノイズが出る時は、LEVEL VRより前の回路を調べます、12AX7のスペアー管があるなら取替えて見て下さい、それでも直らない時はCRなどを調べて下さい。 グリッド回路やプレート回路の抵抗をローノイズの物に取替えて見て下さい。 本機は酸金1Wの抵抗を使っていますがザーノイズはほとんど聞こえません。

発振する
音量VRを最小にしてもダミー抵抗8Ωの両端に数ボルトのAC電圧が出ている、スピーカーを接続すると発振音がするという時は、負帰還(NFB)でなくて正帰還(PFB)になっている可能性があります。 最初に出カトランス2次側の負帰還抵抗2.7kΩの片側を外して発振が止まるか確かめて下さい、発振が止まれば正帰還になっていますから、出カトランス2次側の巻き線を下図の様に入れ替えて下さい。
2次側の巻き線を入れ替えた後、外した負帰還抵抗2.7KΩを半田付けしてAMPが発振しないか確認して下さい。

巻き線を入れ替えた時、0Ωがスピーカーの方になりますが、出カが0Ωになったわけではありません。極性を逆にしただけで、出カトランス2次側のインピーダンスは8Ωです。



実験
本機のNFB回路をPFB(正帰還)につなぎ替えて見ました。 ダミー抵抗を付けている時は目立った変化は無く発振している様には見えません。 次にスピーカーを接続してみましたら音量VRの最小と最大で発振します、また発振音も聞こえますがVR中間では発振音は聞こえませんでした。 今度は電源を入れたままでスピーカーを外して見ましたら、勢いよく発振して出カ管の電極が振動し危なそうな音(ギーンと言う音)をたてています、真空管が壊れてしまいそうな感じですのですぐに電源スイッチを切りました。
この様に出カトランスによっては発振状態がはっきり出てこない物も有りますので、注意が必要かもしれません。

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